大有の歩み
1950

S25年~S34

マテハン機器のパイオニア大有への第一歩
全国的に普及したドラムポーターの誕生
1950(昭和25)年、鋼屑スクラップ事業で創業して間もないころ、大有の工場で「テコ車」が考案されました。重さ約60kgの鉄塊を横挟みにし、テコの力で持ち上げて運搬する2輪車でした。「これを何かほかの用途に使えないか」という発想から開発されたのが、日本初のドラム缶運搬車、ドラムポーターです。発売は1953(昭和28)年のこと。マテハン機器メーカー大有の誕生です。
当時は、燃料が石油・ガスに切り替わり、各地に石油コンビナートができるなどして、ドラム缶の需要が著しく伸びた時代でした。その波に乗り、ドラムポーターは全国的に普及しました。
ドラムポーター
ドラムグリッパー
ポーターリフト
お客様の要望で生まれたポーターリフトとドラムグリッパー
ドラムポーターに続き、発売されたポーターリフトとドラムグリッパーは、お客様からの要望で生まれました。ポーターリフトは、テコのリンク機構でパレットなどを持ち上げて運ぶ台車。当時は「手押しフォークリフト」と呼ばれもしました。 ドラムグリッパーはドラム缶をつかんで持ち上げるためのアタッチメント。ホイストクレーン用として開発されました。このドラムグリッパーには、後にドラム4本用の吊り具も用意されました。また、自動的にドラム缶をつかむ自動着脱式も考案されています。 それまではどこにも例のなかったドラム缶ハンドリング機器により、大有はマテハン機器のパイオニアとしての道を歩み始めます。
1960

S35年~S44

マテハン機器のエポックを画したタンブルリフト
大きな課題だった工場ラインへの原材料の投入
高度経済成長期は、わが国の工業化が急速に進んだ時代です。製造の現場では、コンベアの導入などにより工程のライン化が進められました。しかし、一方では原材料の取り扱いがひとつの大きな課題となっていました。重量の大きい原材料をラインへ移す作業では、まだ人力に負う部分が多かったのです。 そのような時代に、マテハン機器のエポックともいえる製品が大有の手により生み出されました。タンブルリフトです。
材料を高所のホッパーへ自動投入することが可能に
1964(昭和39)年、「ドラム缶の中身を高所のホッパーに自動で移す作業がしたい」という消火器メーカーからの相談を受け、タンブルリフトは開発されました。これにより大有のマテハン機器に、ドラム缶を所定の高さに持ち上げて回転させ、原材料を投入するという新たな機能が加わりました。 こうしたマテハン機器による省力化は、業務を効率化するばかりではなく、働く方々の体にかかる負荷を軽くする面でも生産の現場に大きく貢献します。タンブルリフトは、化学系の工場を主として普及していきましたが、食品や薬品など軽量作業向けのタイプも開発され、より多様な業種の製造現場へと広がり、大有の看板製品となっていきました。
タンブルリフト
タンブルリフト
1970

S45年~S54

多様なワークに応える複合化と自動化のはじまり
複合自動省力機
オートグリッパー
材料投入から小分けまでを自動化した複合機第1号
工場のオートメーション化が急速に進んだこの時代、マテハン機器の複合化、自動化も始まりました。その先駆けは前出のタンブルリフトを用いて、ホッパーに投入した材料を小分けし、ラックに組み込む一連の工程を自動で行う複合省力機。1972(昭和47)年、大手電機メーカーの依頼で製作したものです。その後も、回転投入機とローラーコンベアを組み合わせてライン化したものなど、さまざまな複合機を開発し、その技術を蓄積していきました。 70年代は、清涼飲料水や缶入りコーヒーの需要が急増した時代でもあります。タンブルリフトは数多くの飲料メーカー工場で活躍しました。また、原子力関連施設の機器としても採用され、全国の原子力発電所に納入されました。
進化型ドラムグリッパー、オートグリッパーがデビュー
この時代の新製品にオートグリッパーがあります。50年代、ホイストクレーン用に開発したドラムグリッパーは、ドラム缶をつかみ垂直に持ち上げるためのアタッチメント。これを「フォークリフトでも使えるようにできないか」という要望から誕生しました。ドラム缶1本用のほか、2本用と4本用が発売されました。 ドラムグリッパーとオートグリッパーは、現在にいたる大有のロングセラー製品となっています。タンブルリフトもまた、多様な業種の工場で活躍し、現在ではその数が優に1万台を超えています。
1980

S55年~H1

多彩なワークに応え「オーダーメイドの大有」へ
多様化するワークや容器にオーダーメイドで対応
80年代は、大有のマテハン機器が実に多様化した時期です。お客様の業態は、化学、医薬品、食品・飲料、化粧品など多岐にわたりました。お客様の要望も現場の環境や作業内容により千差万別。扱う容器も鉄製ドラムばかりではなく、ファイバードラムやポリドラム、箱型やボール状の容器など多種多様になっていきました。 この時代、それらオーダーメイド品のひとつひとつに、柔軟かつ丁寧に対応することで、当社の主力製品に成長していったのが1983(昭和58)年に誕生したハイリフトです。
自動化、計量、防爆など、さらに厚みを増すマテハン技術
ハイリフトは、任意の高さにドラムを持ち上げ、材料を回転投入できる機器です。ベースモデルは、容器のリフトが機械式ですが、よりスムーズな作業性と、さらなる省力化を求めるお客様の声により、どんどん進化を遂げていきました。 容器の昇降を自動で行うバッテリー式やエアー油圧式のハイリフト、ドラム内容物を計量して投入できるドラムリフトスケール、火気厳禁の化学工場からのオーダーによる防爆仕様などが、その例として挙げられます。多種多様な容器をしっかりとホールドする機構も、この時期にさまざまなものが考案されました。 また、ロングセラーのドラムポーターでも、自走式のモデルを開発するなど、オーダーメイド品の製作により、働く現場に合わせた省力化の多彩な技術が蓄えられていきました。
ハイリフト
ドラムリフトスケール
1989

H2年~H11

他の追随を許さない大有機器の多彩な回転機能
ドラムシェーカー
ドラム缶キャッピング装置
投入前の攪拌を自動で行えるドラムシェーカー
他に勝ると、大有が自負する技術に回転機構があります。例えば「原料の投入前に、ドラムの中身を攪拌したい」という求めに応じ、この時期に開発したドラムシェーカー。ドラム運搬回転機のハイリフトをベースとし、ドラムを360度連続回転させ、内容物の攪拌を可能にしたものです。オーダーメイド例では、横回転や傾斜(ひねり)回転するものもあり、投入後のドラムの洗浄にも使われています。 ドラムを運搬し、内容物を回転投入できる機器は、同業他社にもあります。しかし、多彩な回転機構を用いて機器を製造できる国内メーカーはごくわずかです。それは長きにわたり、生産の現場に適した機器をつくり続けてきた当社の成果ともいえます。
コンタミネーションを防ぐキャッピング装置の普及
食品や医薬品の生産では、製品への異物の混入や原材料の飛散を嫌います。それらを防ぐため、1989(平成元)年に考案されたドラム缶キャッピング装置は、原料を密閉した状態でホッパーなどに投入できるようにしたものです。各メーカーで工場のクリーン化が積極的に進められた90年代以降、このキャッピング装置はさまざまなマテハン機器に装着され、食品や医薬・化粧品などをはじめ、多くの工場で活躍するようになりました。
2000

H12年~21

オーダーメイドでマテハンを繋ぐ時代へ
製造ラインと融合しはじめた大有の機器
パソコンや携帯電話の急速な普及により、半導体やリチウムイオン電池の製造工場への機器納入が増えていった時代です。しかも、マテハン機器と製造機器を融合させ、一連の作業をライン化するオーダーがこの時期に目立ちました。従来マテハンは、ライン製造の前の準備段階で、独立した工程ととらえられがちでしたから、これは非常に大きな変化でした。 最初に開発したのは、2001(平成13)年のドラム缶自動搬送投入機。原料の搬送からラインへの投入までを自動化した、いわゆるジュースラインです。その後、二次電池の分野でも、電気自動車用の需要増加などもあり、ライン化した装置を大手自動車会社のリチウムイオン電池製造工場へ納入しました。
ボビン・ロールリフターの登場、ステンレス機器の増加
当社の機器が取り扱うマテリアルも、この時期から多様化してきました。特筆されるのは、光学系の製品や電子基板などに使われるフィルム原料の円筒状のロール、あるいは巨大なケーブルボビンをハンドリングする、ボビン・ロールリフターが、製品ラインナップに加わったことです。 また、食品・医薬品工場などのクリーン化の流れは、マテハンにもおよぶようになりました。塗装のように劣化で表面が剥離するおそれがなく、防蝕性の高いステンレス製オーダーメイド機器の受注が急増したのもこのころからです。
ジュースライン
ボビン・ロールリフター
2010

H22年~

働く環境のさらなる省力化・効率化を求めて
袋体ブレーカ
フレコンバックブレーカ
中身が固化した袋体を傷めず破砕するブレーカ群
フレコンバッグやクラフト袋(袋体)に詰められた粉体の原料には、内容物が固化して排出が困難になるものがあります。これを解決するため、2001(平成23)年に登場したのがフレコンバックブレーカです。次いで袋体ブレーカも開発しました。これらは、袋を破ることなく、揉んだり押したりして固化した内容物を破砕する装置です。
ステージや中二階への荷揚げを安全に行うリフターの誕生
昇降リフトでは近年、荷揚げリフターのニーズが高まっています。生産の現場では、ステージへの荷揚げや階をまたいで運搬するケースも多いのですが、安全面や法令などによる課題がいくつかあります。それらをクリアする製品であることが評価されています。
荷揚げリフター(コの字脚型)
ドーリー運搬用カート「押しドリくん」
ドーリーの荷崩れを防止、物流拠点で活躍する「押しドリくん」
出荷倉庫や中間物流拠点でよく使われているドーリー。小分けされた荷物の運搬に便利なのですが、複数のドーリーを積み上げると視界が確保できない、押し手ハンドルがないため、進路変更などの際に荷崩れしやすいという問題があります。そこでハンドル付きのフレームで、ドーリーの固定もできるようにしたのが「押しドリくん」です。このドーリー運搬用カートは、AGVにけん引させたり、カゴ台車をAGVでけん引するなどの発展性も持ち合わせています。 「大有なら、こういうものもつくれるのではないか」。当社は、そんなお客様の期待に育てられてきました。マテハンの省力化・効率化を求め、お客様とともに新たな課題解決に日夜取り組んでいます。